今夜も また 眠れない。
わけもなく 不安でたまらない。
僕は とつぜん あったかいココアが 飲みたくなる。
お砂糖たっぷりの。こんな真夜中に。太るかなあ。
僕は そっと ベッドを抜け出す。
隣ですやすや眠っている 君を起こさないように。そっと。

君がこんなに傍に居て 僕はとても幸せなのに どうしてこんなに不安なんだろう。
息苦しささえ感じる。しあわせすぎてくるしい。
ずっと不幸だったから こんな毎日に慣れないんだ。
なんだか居心地が悪い。贅沢な悩みだ。
悩みって あとからあとから出てきて いつまで経っても尽きることがないね。
僕が欲張りなのかな。どこまでいったら満足出来るんだろう。
淡々と平凡に過ぎてゆく この日々は とても幸福な筈なのに。

僕は何故 こんなにも不安なんだろう。
どうしてふたりで居るのに こんなにもさみしいのだろう。

ココアを飲んで 僕は ちょっとだけ ほっとする。ほんのすこし。
不安をすべて拭い去れる訳じゃない。そんなこと無理だ。僕はくよくよ考えすぎかなあ。
もうちょっと 気楽に生きてみたいよ。何の不安も無い夜なんて 永遠に訪れないような気がする。

『またねむれないの?』
あ。君を起こしちゃった。ごめんね。
君は ねぼけながら 僕の手を握ってくれる。

あったかい。
君の手は あたたかいね。
すごく 安心する。
ココアなんかよりも ずっと効く。

いつまでも この幸せが 続くといいのに。
幸せが 終わらなければいいのに。

もうすぐ 夜が 明けてしまう。

TAKE ME BACK