2002/06/01 (Sat)
foot bath
足の裏が 常に痛い。足が 常に痛い。悪い血が 汚れた血が 溜まっているのだろう。
たっぷりと睡眠を取って 気持ち良く寝覚めた朝でさえ その痛みは既にあって 一日中続く。
立ち仕事を終えた午後には 膝から下が おどろくほど浮腫んでしまう。
この足は 太いのではなく 浮腫んでいるのだ と 思うことにしている。

そんなわけで 夕方の足湯は 日課になっている。
おおきな盥に熱いお湯を張って 両足を浸す 瞬間の 気持ち良さ。
2002/06/02 (Sun)
a dog collar
太りすぎた犬の首輪は とてもきつそうだったので あたらしい首輪を買う旅にでかけた。
大きなサイズは 色もデザインも種類が乏しくて 何軒もお店を回ったのに
なかなか これというものに 巡り合えなかった。

6軒目に それは あった。
青いナイロンテープに 白地に赤いサクランボ柄の刺繍リボンが 縫い付けられている。
なんとも 可愛らしい。しかも お値段680円と 大変お買い得だった。

早速 彼女の首に それを着けた。
白の分量が多い首輪は 白い犬の首には すこし似合わない気がした。
2002/06/03 (Mon)
passing passion
店に ワールドカップのリーグ表が貼り出されて 試合結果を記入するという仕事を任された。
さっぱり興味無いことに すこしづつ 侵食されてゆく。
フラットスリー という言葉を おぼえた。
スロベニアが 何処に在るのか 地図帳でしらべた。

そういえば Jリーグが開幕したころ しばらくのあいだ 熱烈にサッカーに嵌った。
チケットを取るのに 早朝から並んだ。
スタジアムまででかけて 手が痛くなるまで応援した。
ボールを蹴るときに すごい音がするので びっくりした。

あのころ ひと通り買い揃えたマリノスグッズは いまでは 部屋の隅で埃をかぶっているし
集めたスクラップや写真は ダンボールに詰められて 納戸の奥 何処にあるのか 定かではない。
2002/06/05 (Wed)
hydrangea
うちの紫陽花は ピンク系で お向かいの紫陽花は ブルー系。
土の性質によって それは 決まるのだったと 思うのだけれど
どっちが酸性の土で どっちがアルカリ性の土なのか いつも わからなくなる。

摘み取った紫陽花を ちいさな透明の金魚鉢に生けたら 思いのほか 素敵だった。
2002/06/06 (Thu)
tears
休日。たっぷりと 眠った。
目が覚めたとき 頬を伝う あたたかい雫に おどろいた。
かなしいきもちではなかった。むしろ ピンクの毛布にくるまって しあわせにつつまれていた。
なにか 夢をみたのかもしれないのだけれど なんにも 思い出せなかった。
起き上がると 頭が じんわりと 痛かった。眠りすぎたせいかもしれない。
その じんわりは 一日中続いて 目には また 涙が滲むのだった。
2002/06/07 (Fri)
pug
郵便局までの道は まっすぐ。駆けてゆく。走り出したい衝動。
昼下がり 太陽はまだ燦々と照りつけていて ほんのみじかい距離を走っただけで すごく暑かった。
建物のいちばん奥にクーラーがあったから その前に立って涼んだ。つめたい風。
僅かなお給料を こつこつと貯金。窓口のおねえさんは ティッシュをひとつ呉れた。
自動ドアを抜けて 夏みたいに暑い外に出る。

帰り道 擦れ違ったのは 一匹の犬と 飼い主。
飼い主は 引き紐を力強く引っ張っているのだけれど
犬は 地面に這いつくばるようにしてそれを拒否していた。おさんぽなんて したくないらしい。
犬の種類は パグ。
皺だらけのくしゃくしゃの顔を おそらく普段よりもさらに歪めて 必死の抵抗をしている姿は 可笑しかった。
あんなにちいさい犬は こんな日 アスファルトの照り返しがきつくて きっと とんでもなく暑いのだろう。
もうすこし涼しい風が吹く時間帯が お散歩には適しているんじゃないのかなあ。
2002/06/08 (Sat)
THE MEXICAN
口喧嘩に 憧れる。

『ザ・メキシカン』 という映画で ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが 云い争うのを観て すごく羨ましかった。
誰かと激しく言い争ったという記憶が 無い。
なにか不満を抱えた場合 たいていしずかに黙りこむ。あるいは 稀に泣き出す。
そうして わたしは 云いたいことが 云えない。
あんなふうに 痛快に 罵り合えたら どんなに 楽だろう。

『ベッドで優しい男はそう身勝手じゃない』 というセリフは そんなこともない と おもった。
2002/06/10 (Mon)
under construction
やけに 工事中や 建設中が 多い。
こわされる たてもの。つくられる たてもの。街は 姿を変えてゆく。変わってゆく。
暗くなるまで 大きな音が あちこちから 響いてくる。
コンクリートを砕く ドリルの音。ショベルカーの アームの動く音。
釘を打ちつける リズミカルな音。ダンプカーの 走り去る音。
お昼時 店は 工事のひとで いっぱいになる。
力仕事をするひとたちは たくさん食べるから とても素敵。
2002/06/11 (Tue)
My dog is dog
明け方ぱらついた雨は 目が覚めたときには跡形もなくて おそろしいくらい眩しい日差し。
いつもの空き地も すっかり カラカラの乾いた土。
散歩に連れて行ったうちの犬は 何を思ったか とつぜん その茶色い土の上に転がって からだを擦り付けた。
ちょっと目をはなした隙に 真っ白な毛は 薄汚いボロ雑巾のような色に 染まった。
犬の行動は ときどき 意味がわからない。
連れ帰って お風呂場に直行して シャンプーする。
犬用シャンプーは ホワイトローズの香り。
シャンプーの香りは やけにてのひらに残る。

夕方 また 雨が降り出した。
夜には降り止んだので 犬を連れて 夜の散歩。
湿気を含んだ風。いつもの 空き地も濡れている。
どういうつもりなのか知らないけれど 彼女は また その白い巨体を 地面に擦り付けた。
今度は濡れた土の上だから 白い毛は 見事にドロドロになった。
家に戻って 本日2度目のシャンプー。
ホワイトローズの香りが まとわりつく夜。
2002/06/12 (Wed)
spring winds
眠れない夜は続くから ネットで拾った音楽を聴き続けて 退屈な時間を遣り過ごす。
ずっと 聴き続けているお気に入りの曲が描写している季節は 春で
降り続く雨や じめじめした空気には すこし似合わないのだけれど
いまのきもちには すごく合っている。
2002/06/13 (Thu)
brand-new summer
消したり 直したり 変えたり 捨てたり 忘れたり つくったり あたらしくなったり。
そうやって すこしづつ 良くなってゆくんだ。良くなってゆけばいい。
2002/06/14 (Fri)
I lost reality.I dream away my life in the dark,darker than darkness.
むかし とてもだいすきだったひとが 云った。 『今 目の前にあるものしか 信じられない』
わたしは おもう。 『今 目の前にあるものも 信じられない』

永い 永い 夢を みているような。失った リアリティー。
2002/06/15 (Sat)
>It was a bitter disappointment to me.
なにも無い場所や 意味の無い言葉や からっぽの自分。
もう 望まないことにしよう。見返りを 求めないことにしよう。
あなたにも 自分にも 未来にも。
諦めて すべてを 諦めて
このまま 何処までも 墜ちてしまおう。
闇の中に 深く 深く 沈んでしまおう。
瞼を閉じて 心を閉ざして 眠りつづけよう。
2002/06/16 (Sun)
release the shutter
じめじめした 湿った空気を追い出すために 窓を開けた。
風が入ってきて 心地良い風が入ってきて ほっとした。

雨が 上がっていた。

犬を連れて デジカメを持って 外に出た。
あちこちで立ち止まって シャッターボタンを押した。

空は まだ どんよりと曇っていた。
2002/06/17 (Mon)
xxx
おなじきせつがめぐってきたことがひどくつらかったけれど
もどれないおもいでにひたってみたりもしたけれど
あんなかなしいなつはにどとこないからあたしは
あなたがいったことばなんてもうわすれていきていこうとおもう

いっしょにいきていこう ていういみが よくわからなかった
あれはなんだったんだろう ゆめだったのかもしれない ゆめだからかなわなかった
どうしていつまでもおぼえていたのだろう ながいことひきずってしまった
たくさんいろいろなことをわすれたけれどあなたのかおもわすれたけれど
あのことばとそれをいわれたときのひどくくるしくてせつないかんじは
いつまでもいつまでものこっていてふいにおもいだしてむねがいたい

なにもかんがえないようにしてばかなふりをして
へらへらわらっていきていくのがいいのかもしれません

ああそんなこともあったよね と ほんとにあのできごとが
どうでもいいことになるといいとおもう
2002/06/18 (Tue)
awake
たくさん 眠った。眠りつづけていたかった。

イタリア×韓国戦を みた。TOTTI と COCO を みていた。
かっこいいなあ。頭が包帯でぐるぐる巻きでも かっこいいなあ。
サッカーの試合を ちゃんとみるのは ひさしぶりのことだったので おもしろかった。
韓国の選手に なべやかんそっくりのひとがいて 妹とおんなじときにそうおもって いっしょに笑った。

江國香織の 『ホテルカクタス』を 読みはじめた。半分くらい読んだところ。
登場人物は 数字の2と きゅうりと 帽子。
なんとなく わたしの性格は 2と似ているなあと思って 2に感情移入しながら読んでいる。
2の誕生日の話が すっごく面白くて 声を出して笑った。

たのしいことは さがせば まだまだ あるんじゃないかって。
目が醒めたみたいなきもちで。
2002/06/19 (Wed)
morning glow
『ホテルカクタス』は あっというまに読み終えた。とてもおもしろかった ってこと。とぼけた語り口が ツボに嵌った。
朝焼けの空が オレンジ色に輝いているのを みた。鳥が 鳴いていた。
2002/06/20 (Thu)
keep a secret
このところ目に留まる 樹の名前を知った。なつつばき。おぼえた。

いろいろな 決意をした。揺るがなければ 良いとおもう。
それは密かな決意なので 此処にも何処にも書かないけれど たしかにこころのなかにあるのだった。

書かないきもちのほうが 本当で 吐き出してしまったきもちのほうが 嘘っぽい。

本当のきもちは 誰にも云わないのが 良い。
2002/06/22 (Sat)
revolver
(scene 1)
警察のひとも薄着になって メッシュ素材のベストを着ている。紺色の 網目。
肩から 黒い皮製の 銀色の鋲がたくさんついた 拳銃入れ
(正式にはなんていうなまえなんだろう?)を ぶら下げているのが 透けて見える。
ちょうど胸のあたりに 拳銃が収まっているのが わかる。
見てはいけないものを見たような気持ちで すこしどきどきした。

(scene 2)
平常心を 保とうと 努力した。
それはもう 平常心を うしなっているからだろう。
2002/06/23 (Sun)
I am looking for some excitement.
(scene 1)
オレンヂジュースを飲むなんて めずらしいことを してみた。
普段 しないようなことを してみたい気分の日 というのが ある。
ツブツブの果肉が入った 甘ったるい液体は 喉に まとわりついたけれど
気にしないようにして 飲み干した。

(scene 2)
この家の3つのTVは おんなじ番組を映していたから
みんなでひとつのTVで観ればいいのに
そうしてひとつ わたしの自由にさせてくれたらいいのに
と おもったけれど とくべつ観たい番組が あるわけでもなかった。
このごろ TVは まったく つまらない。

(scene 3)
ブラックペッパーを あらゆる料理に ふんだんにかけてたべたい という病気に罹った。
2002/06/24 (Mon)
not found
言葉を 失くした。みつからなかった。
2002/06/26 (Wed)
TWO DOGS(they are speaking to me,only me.)
明け方。午前4時。電気を消した 暗い部屋。
おおきな机の上の ノートパソコンのモニターだけが あかるく光っている。
机に向かっているわたしの許に 茶色い犬が近づいてきて 云った。
『おさんぽにつれていってください おトイレがしたいの』
実は うちの犬は 言葉が喋れるのだ。これ 秘密。

空はまだ暗かった。雨は止んでいた。幹線道路には 走る車も見当たらない。

犬はさっさと用を済ませたので 部屋に戻って また パソコンに向かった。
しばらくたったのち また 茶色い犬が 近づいてきて 云った。
『おさんぽにつれていってください もういちど おトイレがしたいの』
重たくなってきた瞼を擦りながら ふたたび 彼女を連れて 外に出る。

空があかるくなってきた。雨がぱらついていた。幹線道路を 走り抜けるダンプカー3台。

どうやら この梅雨寒で 彼女はおなかをこわしたらしい。
部屋の中も やけにさむい。それに すごく眠くなってきた。
パソコンの電源を切って 布団に潜り込む。

一緒のおふとんで眠るのは 白い犬。彼女は 躰を摺り寄せながら 云った。
『Ho freddo.Fatti piu' vicino. (さむいよ〜 もっと そばにきて)』
彼女は 流暢なイタリア語を話すのだ。これ 秘密。

こんな日は くっついて眠ると とてもあったかいので
わたしは 『Cert! (もちろん!)』 と みじかく答えるのだった。
2002/06/27 (Thu)
Modernism in the Russian Far East and Japan 1918-1928
美術館は 山の上。バスは 坂道を あがってゆく。
そこが終点で 終点までの乗客は わたしひとり。
『お降りの方は、このボタンを押してください』 というボタンを
押したほうがいいのかなあ と 思ったけれど 押さなかった。
バスが 止まったから。ふかい 森のなか。降り続く 雨のなか。

『極東ロシアのモダニズム』 という 企画展。
落書きみたいな線画。板にガラスや布を貼りつけたもの。厚く塗られた油彩画。
新聞の挿絵。本の表紙。版画。ポスター。たくさんの作品を みた。
なにか思ったり なにも思わなかったり した。
カルル・カーリ というひとの 風景画が 素敵だった。独特のタッチの 油彩画。
水面を 鮮やかに 描いていた。水には いろんなものが 映っていた。
まわりの風景。植物。空気。そら。季節。色。光。影。

常設展の 小企画も おもしろかった。
茶谷正洋さん というひとの 『オリガミックアートの世界』。
カッターナイフで こまかく切り抜いたり 切り込みを入れたりした ケント紙。
ふたつ折りの とびだすカード。山折りと 谷折り。繊細な 紙細工。
浮かび上がる 立体。ちいさな 建造物。

ここのミュージアムショップは 充実していて
絵葉書や画材のほかに おしゃれ雑貨や おもちゃも 置いてある。
蝶々のかたちをした ヘアジュエリーという名前のものを 買った。髪を ちょっと 留めるもの。

バス停で 帰りのバスを待つとき すぐ傍の 窪地に降りていった。
急な斜面は クローバーと雑草とタンポポで 覆われている。雨を含んだ 一面の 草。
森の谷間のそこは 沼になっていて 鳥が一羽 およいでいた。
アヒルとか ガチョウとか 鴨とか そういった大きさの鳥。あれは なんていう鳥だろう。わかんない。
鯉に エサをあげているおじさんがいて 鳥も それを 貰いにきていた。
犬を散歩しているおじさんは 引き綱を放したので 犬は わたしの傍にやって来た。
ちいさくて ほそくて しろくて くろいブチがたくさんある 元気な犬だった。
雨は しずかに 糸のように 沼に降り注いでいた。沼には いろんなものが 映っていた。
2002/06/28 (Fri)
idle my time away
足は とてつもなく重たくて もう歩けない。
躰は 疲れきっていて もう起き上がれない。
ただひたすらに 惰眠を貪った。ながい ながい 無為な時間。

『セブン』 という映画をみたとき 怠惰という罪がでてくるところで どきりとした。
わたしは 罪深い。
2002/06/29 (Sat)
bubble
(scene 1)
1日4時間のアルバイトは とんでもなく忙しく すっかり疲れ切ってしまった。おかしなくらい へとへと。
それにしても 体力が無さ過ぎるなあ。それとも 気力が足りないのか。
どちらも 無いのか。なにか 悪い病気か。

(scene 2)
綿棒に含ませた過酸化水素水を 皮膚の上に落とす。
赤い傷に しろいちいさな泡が しゅわしゅわと音をたてて やがて消えた。

(scene 3)
唐突に シャンプーを変えよう と 決意したのだけれど 買いにでかける元気が無かった。
ドラッグストアは 遥か遠い。
2002/06/30 (Sun)
past
(scene 1)
疲れ果てた躰で 自転車に乗って シャンプーを買いにでかけた。ペダルが 重かった。
シャンプーはたくさん並んでいたけれど ほしいものはすぐに決まった。
温泉に持っていくために おんなじものの ちいさいサイズも買った。
ついでに 25g増量のはみがき粉と ハブラシも買った。
ハブラシは けっこうながいこと悩んで 柄が近未来的なデザインの ピンク色のを 選んだ。

帰宅してみると 脚は 疲れた とか 痛い という感覚を通り越して 痺れてしまっていた。
膝から下が ビリビリしていて 電気が走ってるみたいになっている。

(scene 2)
いちねんの はんぶんは あっというまに すぎてしまった。