2002/12/01 (Sun)
 
窓ガラスのこちら側 あたたかい部屋のなか。
ファンヒーターが ごうう と ひくい音を立てて燃えているまえに立って 外をみる。
うすぼんやりした白さの雲が 空一面に 低く低く 広がっている。くもりぞら。冬の空のいろ。
そとの温度を 想像してみる。きっと とてもさむいのだ。ここは あたたかで安心。
お昼ごろになって すこしだけ雨がぱらついた。アスファルトを黒っぽく濡らして すぐに止んだ。
ガラスで守られたこちら側から こまかい雨粒をみていた。ひどく穏やかな気持ちで。

昼間の時間は しずかに やさしく 流れる。

夜ごはんのときに ライチチュウという名前の甘酸っぱいお酒を飲んで
のんびりお風呂に入って PM11:00には 眠りについたのだけれど
2時間後 悪夢によって 安眠は妨げられた。とてもこわい 夢をみた。
黒くておおきなトカゲのような生き物が わたしの可愛い犬にとびかかって
犬の頭を呑み込んじゃって ひきちぎられる頭とか 飛び散る血とか 響く悲鳴とか そういう 夢。

夢占いを みてみた。夢占いって こわいなあ。
深層心理を こころのすごく汚い部分を 覗く恐怖。

眠るのが こわい。夜が こわい。
2002/12/02 (Mon)
 
孤独ということを かみしめている。
2002/12/04 (Wed)
 
AM4:00
雨上がり。
濡れた アスファルト。
つめたい つめたい 空気。
信号待ちの車 3台。
24時間営業の 灯り。
誰も いない 街。
はしる 犬。
はしる わたし。

すこし 元気になった。
涙 乾いた。
2002/12/05 (Thu)
 
おやすみとなると こわれたように 眠ってしまう。
AM8:30に 眠って 起きたら PM4:30。
8時間も 眠れた。ぐっすりと。夢も 見ずに。
今日こそ お買い物に行こうと 思っていたんだけどなあ。
さいきん ぜんぜん 外に出ていない。犬の散歩以外 出かけてない。よくない傾向。
お風呂をあらってお湯をためたり 枕カバーとシーツを取り替えたり した。
あたらしく敷いたシーツは タオルシーツで 肌触りはとても良いけど
あたたかさという点でどうなのか。ボアシーツを買おう。ふわふわの。ふかふかの。
ボアシーツじゃなくて 敷きパッドていうのかなあ。
あったかそうなの 売っているよね。あれを 買おう。
毛足がながくて フェイクファーみたいなのが いいなあ。
そして あったかくして ぐっすり 眠るの。

だから だから お買い物に 行かなくちゃ。
2002/12/7 (Sat)
 
夕方 雪が ちらついたらしい。
部屋のカーテンも雨戸も閉まっていたので 気付かなかった。

白いワインを ジンジャーエールで割って飲むと 甘くておいしい。

夜の散歩にでかけるころまで ざあざあと 雨が降り続いていたので 傘を差さなければならなかった。
片手に傘を持ってしまうと もう片方の手で3匹ぶんの引き綱を持たなければならないので ちょっとつらい。
1匹ずつ 連れてゆく。

吐く息が しろくて とてもしろくて それはひどくさむいかんじだけれど
少しのワインであたたまってしまっているわたしは ちっとも 寒さを感じない。

目の前を うっすらと雪の降り積もった車が 通り過ぎていった。
2002/12/08 (Sun)
 
ラーメンを 食べに行った。
辛さが選べたので さんばんめに辛い 辛口 というのを頼んだら とても辛くて 涙が出た。

モカフラペチーノを 飲んだ。
シナモンとココアとバニラのパウダーを入れて おいしさを アップした。
ラーメンで喉が渇いていたので うっかり トールサイズを頼んでしまったのだけれど
やっぱり 量が多くて 持て余した。ショートにしておけばよかった。

ラーメン屋さんでも スタバでも わたしはのろのろと食べたり飲んだりしていて
ほかのふたりを すこし お待たせするかたちになった。
わたしがのんびりしているのか ふたりがはやいのか どっちだろう。

父親の誕生日プレゼントと 妹の誕生日プレゼントを 買った。
それと 自分のために ANNA SUIで ハンカチをいちまい 買った。
ピンク地に 紫の糸で 蝶々が 刺繍してある。

あたたかそうなアウターも 6900円というリーズナブルなお値段で
理想にぴったりのものをみつけて うきうきと 試着してみたのだ。
だが しかし それは わたしには ちいさかった。肩がどうにも窮屈だし 袖丈もみじかい。
お店のひとが ワンサイズしか無い と 云うので あきらめるほかなかった。
そんなわけで あたたかそうなアウター探しは まだまだ 続くのだった。妥協は ゆるされない。
のんびり探している間に 冬が 終わってしまいそうな予感。

FKDというショッピングセンターの駐車場から ライトアップされた宇都宮タワーをみた。
暗闇にうかぶタワーは きらきらと あたたかな光を放っていて とても綺麗で 涙が出そうだった。
2002/12/15 (Sun)
 
ファンヒーターの 電源を 入れる。
デジタルの数字は 3 で その数字を見たとたんに 寒い と つよく思う。
開店前の 慌しさのなかで。

おしごとは あいかわらず。とても楽で そして 退屈。
12月は 例年 忙しいものなのだけれど 今年はどうしたことか いつになく暇なのだった。
レジのなかの小銭をいかに美しく整然と重ねるか ということに 腐心していたら
上司であり 実の母親であるところの 50歳を過ぎた女が云う。
『あんたは無駄に生きているね』
なんて真実をもった言葉だろう。返すことばも無い。

澄みきった青い空の向こう側に しろく雲がかかってぼやけて見える日光の山々。
山は 雪が降ってるんじゃないだろうか。

スープを飲むためだけの カップを買った。
くちが広くて 背がひくくて あたたかみのある つやつやとした こげ茶色。
近所の 小粋な 雑貨やさん。この前行ったときから 狙っていた代物。
銀色のかごのなかで 処分品の札をつけられて 100円安くなっていたのだった。
カップをひっくり返した底のほうに ちいさな傷 というか うわぐすりのかかっていないところがある。
スープを飲むときには そんなところ見えないし ちっとも気にならないのだから 問題無い。
雑貨やさんのそとには 水草のたくさんはいった壺が置いてあって
何匹かの金魚が泳いでいたはずなんだけれど 今日は水がすっかり凍り付いていて
あかいちいさな金魚たちは 一匹も見当たらない。
金魚は? 金魚はどこ? と思ったのだけれど お店のおねえさんには ついに訊けなかった。
おねえさんは やかんのかかったストーヴの横で はがき大のおおきさの紙に描かれた羊の絵に
糊で わたを 貼り付けていた。それは どうみても 年賀状だった。
あれも 商品になるのだろう。たのしそうな お仕事。手作り感の 漂う お店。
刺し子の雑巾や 苔玉や 文庫カバーや 栞や いろいろな食器。

陽がすっかり落ちて お店のまえのアスファルトには 薄氷が張っている。
滑らないように そうっと そうっと 歩く。
2002/12/16 (Mon)
 
防衛本能。条件反射。
布団のうえでまるくなって眠っている 茶色い犬が
あまりにも邪魔だったので どけようとしただけなのだけれど。
寝ぼけた犬は あろうことか 唸り声をあげながら わたしの右手を がぶり と。
皮膚が剥がれて あかい血が滲む。
じわじわと 鈍い痛み。
親指の付け根に 1センチぐらいの 犬歯のかたちの 傷。

すっかりあかるくなって 目がさめた犬は 赤く腫れた傷を 舐めてくれる。
両方の耳を 真横に倒して ひどく申し訳無さそうに。

『こんな手じゃ働けない! わたしやすむ!』 と 云ってみたものの そんなことが許される筈も無く
傷に対してやや大げさなおおきさの絆創膏を貼り付けて おしごとおしごと。
2002/12/17 (Tue)
 
あの猫に また 会った。
首から上 顔中が 傷だらけで ところどころ 出血している 痛々しい あの猫は
犬や猫をたくさん飼っている家のそばに 座っていた。
首輪はしていないけれど きっとその家で 可愛がられているんじゃないかと思う。
自転車を停めて 猫に近づくと 猫は いつか会ったときみたいに わたしの足に まとわりついてきた。

自転車に乗ってすすむと 吹く風が ひどく つめたい。
首にぐるぐる巻いたマフラーも 白い手編みの手袋も 目深にかぶったニット帽も
寒さによる震えを とめない。
あんまり寒いので たびたび自転車を降りて 押してあるいた。
夜空を見上げながら あるいた。
かぎりなくまるい しろい月が 東の空に みえた。
ばらばらばら と 大きな音を立てて ヘリコプターが旋回していた。
ヘリコプターは 3つのライトを ぴかぴか光らせていたので 暗い夜空に 宝石みたいに輝くのだった。
しろと あかと みどりの ライト。クリスマスみたいだなあ。
通り抜ける住宅街には 植木に電飾が施してあったり 窓辺でクリスマスツリーが光っていたりした。

そういえば 教会から イブ礼拝のおしらせが やってきた。2回も やってきた。
あたらしく変わった牧師さんは ずいぶんと熱心なようだ。毎週 封書がやってくる。
ざっと目を通すのだけれど 教会にでかける気持ちは まったく無い。
いちどだけ行った教会では たくさん賛美歌をうたって 牧師さんのお話を聴いて
さいごに 教会のひとたちと お茶を飲んで お砂糖の味ばかりする甘すぎるパウンドケーキを たべた。
なにやらいろんなお話をしなければならず それは少なからず苦痛なことだった。
あれ以来教会には行っていないし このごろは聖書も読んでいない。
神様ってほんとうにいるのかなあ。わからないなあ。
空を見上げながら そんなことを 考えていた。

自転車にたくさん乗って たくさん押してあるいて とてもおなかがすいた。
夜ごはんは 黒米にひじきと刻んだ油揚げのはいっている混ぜごはんで ヘルシーなかんじだった。
京菜と白菜のお新香が とても美味しくて たくさん食べた。
2002/12/18 (Wed)
 
妹は 腰痛持ちで 昨日ぐらいから 歩くことも大変そうだった。
今日はアルバイトがお休みで 朝から病院に行って 診察や レントゲンや 尿検査を してきたのだそうだ。
コルセットを巻いた腰を みせてもらった。お薬も いろいろ 貰ってきたらしい。
それで病名はなんだったの? と 訊いたら
『背骨がずれて右に曲がってる病』 という なんとも不可解なお返事。
右にずれた背骨が 神経を圧迫していて それでひどく痛むらしかった。
話を聞いているだけで なんだか腰が痛くなってきた。

ぎっくり腰になって以来 わたしの腰も
屈んだりするとよわい痛みがあって 上体がうまく腰に乗っていないような違和感もあって
もしかしたら 背骨が ちょっとずれているのかもしれないなあ と おしごとをしながら ぼんやり 考えていた。
いつもより 注意深く 動き回る。腰を痛めないように 気を付けてみる。

おしごと中のわたしは まるで別人格だと思うときがある。
まわりのスピードのゆっくりさに苛立ったりする。普段より明らかに てきぱきしている。
それは 普段と比べて ということで 傍からみれば まだのんびりしているように映るのかもしれないけれど。
そして驚くほど愛想が良い。普段より明らかに にこにこしている。
それは 普段と比べて ということで 傍からみれば まだぶっきらぼうに映るのかもしれないけれど。

右手の 犬に噛まれた傷は もう随分治ってきたので 絆創膏を ばりばりと 剥がした。
案外 浅い傷だったのだ。
2002/12/19 (Thu)
 
腕時計が 止まってしまった。おきにいりの Baby-G。電池が切れたのだ。

買ったお店に持っていったら 電池交換には2種類ある という。
ふつうの電池交換と メーカーに送って防水テストを施す電池交換。
ふつうの電池交換だと 30分で仕上がるけれど 防水機能が働かなくなってしまうのだという。
『どちらになさいますか?』 と 選択を迫られる。
『メーカーに送ると 日にちはどのくらいかかるんですか?』 と 尋ねてみた。
すると 『年末ですので 1ヶ月はかかりますね』 と 云われた。
1ヶ月!
お守りのように大切にしている腕時計が 1ヶ月ものあいだ 手許をはなれてしまうことに 思いを巡らせて
なんとも心細い気持ちになってしまったので つぎの瞬間 わたしは 云った。
『ふつうの電池交換をおねがいします』

お店を出て 交換がおわるまでのあいだ ふらふらと 街を彷徨った。
そのみじかいあいだでさえ 時計を外してかるくなった手首が なんともさみしくて 心許なかった。
ながいことお別れしているのは とても無理だと 思った。

30分後くらいに 時計をお迎えに行った。
見事に息を吹き返したものの 水のなかに入れられなくなってしまった。
Baby-Gなのに。Baby-Gのくせに。
果たして これで良かったのだろうか。
選択は 正しかったのだろうか。
間違ってしまった感を 拭えない。

人生は選択の連続で わたしは しばしば それを間違うようだ。
だけれど どっちが正しくて どっちが間違いだったかなんて
誰にもわからないことだし 正解など無いのだろう。
こたえのないものを 選びとっていかなくちゃならないのだから むずかしい。
2002/12/20 (Fri)
 
わたしの脳みそは すっかり 腐っているのかもしれなかった。

郵便局のカードの暗証番号は たったの4桁。
忘れてしまうとは いったい どうしたことだろう。
厳密に云うと 忘れたわけじゃない。
頭のなかに 暗証番号の候補が ふたつ 浮かんでしまったのだ。
間違ったほうの番号を 懸命に入力していたらしい。
ATMに ロックがかかってしまい カードが 吐き出されてきた。
『暗証番号が間違っています。カードを窓口にお持ちください』 と 機械に おこられた。

窓口では 身分を証明するものの提示が 必要だった。
免許証を所持していないので わざわざ 健康保険証を 持って行かなければならなかった。
なにかしらの手続きが行われ カードは 再び 使えるようになった。
カードを返してくれながら 局員さんが
『暗証番号はご記憶ですよね?』 と たしかめるので
『たぶんおぼえているとおもいます・・・』 と 曖昧な返事を した。

さっそくATMに向かい 残高照会を してみる。
おそるおそる 4つのボタンを 押す。
すると 無事に 残高が表示された。
よかった。ちゃんと おぼえていた。

わたしの脳みそは 腐りかけといったところだろうか。
2002/12/21 (Sat)
 
新聞の土曜版に載っているクロスワードパズルは 父親の たのしみのひとつだ。
毎週 嬉々として解いているのだけれど わからないところがあると わたしに訊いてくる。
今週は 難易度が星5つで とくに難しかった。
たとえば こんな問題だ。
『幸運を呼ぶかもしれないが 突然変異かもしれない』
とつぜん そう訊かれても こたえの3文字は さっぱり 思い浮かばない。
まわりから埋めていけばいいんじゃないの? と 云って ほかの問題にも挑戦して
しかしほかの問題も やはり難しくて なかなか マスは 埋まっていかなかった。
それでも ふたりでがんばって考えたので しばらくのちには かなり埋まって
問題の3文字は ヨ ではじまることが わかった。
とつぜん ひらめいて わたしは さけぶ。
『わかった! ヨツバ だ!』
こたえが わかってしまうと なあんだ というかんじ。

父親は けんだまにも 夢中になっているらしい。
うえの とんがった棒のところに 玉を乗せようとして 何度も何度も挑戦していたけれど
いちども決まらないのを わたしは 冷ややかに みていた。
間の悪いことに わたしがうつむいて目を逸らしたその瞬間に やつは やっと成功した。
そして 『なんでみてないかなあ?』 と 怒ったように しかし笑いながら 云うのだった。
2002/12/24 (Tue)
 
モスチキンパック予約特典の モス・ベアブリックは 38%の確率であたる SANTAだった。
妹は 12%の確率であたる LOGOが欲しかったのだそうで 残念がっている。
SANTAの入っていた袋のなかには かんたんなプロフィールが同封されていた。
『モスバーガーを食べるのが得意』 という一文に 感心する。
あれを 上手にたべるのは けっこうたいへんだ。
トマトがとびださないように。ソースがこぼれないように。

モスチキンは サクサクの お米の衣。脂身が 絶妙。
オーブントースターで 温め直して あつあつを いただいた。

もうひとりの妹は 氷を入れたグラスに 杏露酒を入れたりライチチュウを入れたりして
炭酸で割って レモンを絞ったり浮かべたりして 飲んでいた。
何杯目かは 飲みきれずに グラスに半分ほど残していたので わたしは それを いただいた。

ふたつにきってお砂糖をたっぷりかけたグレープフルーツみたいな味がした。
2002/12/26 (Thu)
 
ガリッ と 異様な音がしたのは やわらかいごはん粒を噛みしめているときだった。
なんか へん! ごはんのなかにじゃりじゃりするものがはいってる?! と 思いながらも
口の中にひろがる咀嚼物と僅かに感じる異物を 吐き出すことはお行儀が悪いように思われて
そのまま 飲み込んでしまった。
(ああ 飲んじゃったさ なんだかわかんなかったけど 飲んじゃったさ)
しばらくして 舌先が 異状を発見した。
ひだりのしたの奥から3番目の 歯が なんか へん。
鏡を用いて確認したところ どうやら 虫歯を治療した銀色の詰め物が 一部 欠けてしまったらしかった。
その欠損は ちいさなものだったけれど 著しく 鋭く とんがっていたので すごく すごく 気になった。

歯医者の待合室には おどろくほど薄っぺらいテレビが置いてあって NHKの みんなのうたが 流れていた。
すこし待ったあと 診察室に通されて しろいほそいベッドに 横たわった。
『詰め物も欠けているけれど 欠けているのは 歯 ですね』 と 云われた。
歯 ですか? と 聞き返した。
『ええ 歯が欠けていますよ』
びっくりした。歯って そうやすやすと 欠けてしまうもの? ごはん粒で?
(その日のおかずを 思い浮かべてみても 特にかたいものは 無かった)
わたしの歯は 異常に よわいのだろうか。この躰は すっかり おばあちゃんなのだろうか。
いよいよ 人生の 終焉だ。死の影は すぐそこまで 近づいてきているのだ。

そんな甘美な絶望感にうっとり浸っていると 口の中に いろいろなものを 入れられた。
風のでてくるチューブ。水のでてくるチューブ。
おもしろいいそがしい音のする機械。高らかに金属音を響かせる機械。
わたのようなもの。ドライヤーみたいな形でやけに光ったりあたたかかったりする機械。
指とか なんかとがったものとか 鏡がついているんだろう丸っこいかたちのものとか ピンセットとか。
そのあいだ なるべく大きく口をあけて こちらを照らすライトを見たり 目を瞑ったり していた。
治療は ものの数分で 終わった。

その後 30分ちかく 歯石を取ったり 歯の表面を磨いたり してもらった。
『痛かったら 左手を挙げてくださいね』 と 云われた。
じつは前歯のところをほそい針のようなもので突かれているときは涙が出そうなくらい痛かったのだけれど
左手を挙げることはしなかったし 涙も零さなかった。

治療は 今日いちにちで すっかり終わってしまったので 歯医者通いはしなくて済んだ。
帰りがけ ニット帽を被るために 洗面所の鏡に向かって ついでに 口の中を みてみた。
まるで何事もなかったかのように しろい色の物質で 歯が元通り 形づくられていた。
2002/12/31 (Tue)
 
大みそか。
いそがしく 働き続けた。
朝から 夜まで 休む暇も無く めまぐるしく。
たくさんのひとが ご来店される。なつかしいひとも やってくる。

毎年 繰り返される 暮れの光景。
『良いお年を』 って たくさん 云って。
そして また来年も会えるといいなあ と 思って。

今年すべての仕事が終わって つかれた躰でふらふらになりながら 犬の散歩にでかけた。
吹く風は つめたいのだろうけれど わたしは なんだかあったかい気持ち。
空には 星が きらきらと輝いていて すごくすごく綺麗に輝いていて。