2003/06/01 (Sun)
 
風の つよい 午後。
開け放たれた窓からはいってくる心地良い風とか なにかが飛ばされていく音とか
どうでもいいような相槌とか どうしようもない感情とか 流されていく日々とか。
2003/06/02 (Mon)
 
消えちゃいたい。
だんだんからだのいろがうすくなって どんどんみえなくなって だれにもみえなくなって
すっかりとうめいになって うすっぺらいこころになって 感じなくなって なんにもなくなって 無になって
わたしという存在が かけらもなく消えてなくなるならば なんのいたみもなくそんなふうに変われたならば。
2003/06/08 (Sun)
 
近年稀にみる肌荒れに悩み 憂鬱な日々。
チョコレートを諦め コーヒーを止めてみて カフェインの禁断症状と闘い 香辛料を控え
野菜ジュースをがぶがぶ飲み 豆乳を飲み レモンを齧り サラダをもりもり食べ ヨーグルトを食べ
湯船にゆっくり浸かり 顔のうえに蒸しタオルなどのせてみて 夜はさっさとおふとんに潜る。
休みともなれば温泉にでかけていって のんびりして
露天風呂で日焼けして かえって悪化したりするうっかりぶり。
2003/06/09 (Mon)
 
夕方の風は 涼しくて 心地良くて 犬を連れて 散歩にでる。
うすぼんやりとあかるくて いいかんじに薄暗くて 穏やかな心もちで
車のヘッドライトの ひかりの流れてゆくさまを みている。
このまま ここで こうして しずかに しずかに 息をし続けていたい と おもう。
いまのわたしはからっぽで ただ それだけ おもっている。
2003/06/10 (Tue)
 
明け方に なにかひとつ わかりかけて けれど 言葉にはならなかった。
虚像とか実像とか理想とか現実とか そんなこと ごちゃごちゃ 考えていた。
2003/06/13 (Fri)
 
(scene 1)
携帯のアラームが ウィーウィルロックユーを奏でるまえに 目が覚める。
チーズクグロフというなまえのパンの 甘くてしょっぱいクリームは なかなか美味。
店のテーブルに 咲いたばかりの 紫陽花を飾る。
ふるめかしいかんじの ちょっとかわったかたちの透明の牛乳ビンに挿した。
おばちゃんたちが きれいないろだとかなんとか 話し合っていた。

(scene 2)
常連客 『何人きょうだいだったっけ?』
わたし 『さんにんです』
常連客 『いちばんしたのひとはいくつになったの?』
わたし 『24さいです』
常連客 『まんなかのひとはいくつになったの?』
わたし 『にじゅう・・・ はち・・・』
(やばい! わたしの歳がばれる! ひみつにしているのに!)

訊きにくいことを上手に訊くひとがいるものだなあ。
2003/06/15 (Sun)
 
(scene 1)
3000円相当という 豪華な薔薇の花束が届いた。
クリーム色で すこしだけピンクのはいった 清楚なかんじの薔薇だった。
父親が 妹の名前を騙って 父の日プレゼントに応募したものが 当選したのだそうだ。
(なにやってるんだろう 父)
そういえば 父の日だ。なんにも用意していなかった。
わたしにできることといえば 届いた薔薇を うつくしく花瓶に生けることくらいだった。

(scene 2)
おひるごはんは お皿いっぱいの茹でたブロッコリーに塩コショウして ツナ缶まぜて
とろけるチーズを2枚のっけて レンジでチンして ヘルシーかつデリシャス。
デザートに ブルーベリーヨーグルト。

(scene 3)
空き地いっぱいのハルジオンは 腰よりもたかく育っている。
たくさんのしろい花が 夜の闇に浮かびあがっている。
ふわふわした花のあいだを 彷徨うようにあるく。
ちょっとした 迷路みたい。
放たれた犬たちの姿は すっかり花陰に埋もれている。
そろそろ帰ろうかなあ と おもって 犬の名前を呼ぶ。
耳を下げて 舌を出して 嬉しそうなかおで 走り寄ってくる。
愛しい と おもう。とても 愛しい。
2003/06/19 (Thu)
 
朝ごはんをたべおわってのんびりしていたら だんだん眠くなっていつのまにか寝ていた。
夢の中におとこのひとがでてきて わたしの髪を 撫でたり指に絡ませたりしていたのだけれど
顔がみえなくて 誰だかわからなくて でもなんとなくわかった気がしたところで目が覚めた。
しあわせなかんじだったので もうすこし 眠っていたかった。

夕方の電車に乗る。
CDやさんの試聴機で まだ買ってないGOING UNDER GROUNDの『ダイアリー』を
カップリングまでフルコーラス聴いて 演奏のすばらしさにうっとりする。
カップリングの曲の詞の さいごのところがすてきで いつか買おうとおもった。
欲しいけれど買ってないCDはたくさんあって だからCDやさんの棚をながめているのはたのしくて
しばらくうろうろしていて いつまででもいられるようなきもちになった。
ほしかったACOの『街』を買って いまさらながらくるりの『さよならストレンジャー』を買った。

『さよならストレンジャー』は いまごろの季節にぴったりな気がした。
コンポで再生したら 9曲目の『7月の夜』のところで はげしく音とびした。
不良品なのかとおもったけど 念のためウォークマンにうつして再生してみたら
なんてことなくちゃんと聴けるのだった。
まえにもこんなことがあったなあ と 思い出してみる。
あれはたしかBUCK-TICKの『COSMOS』というアルバムを買ったときで 『idol』という曲で音とびした。
CDやさんにもっていってCDやさんのプレーヤーで演奏したら ちゃんと流れた。
おねえさんが プレーヤーとCDの相性があるのだ と おしえてくれたことを 思い出してみる。
2003/06/20 (Fri)
 
店には レジスターという便利な道具が 無い。
たいへんいそがしくせわしないので 電卓をつかっている余裕は 無い。
注文も ひとつひとつ メモしている暇は無いので 何人分もいちどに憶える。
満席時には 30にんくらいのお客さんで ひしめきあうのだけれど
誰がなにを召し上がって 誰からいくら貰ったらいいのか 確実に瞬時にわかる必要がある。
暗記力と暗算力が試されるのだけれど さすがに10年以上やってるので 慣れたものだ。
けれど いっしょに働いている母親は さっぱり憶えようという気がないみたいで こまっている。
だれかがお会計という段になると 慌てたようにわたしを呼ぶ。
したのなまえを 店中に響くおおきな声で呼ぶので 恥ずかしい。
『わたしに助けを求めるのは止して なまえはひみつにして』 と 云ったら
それじゃあ源氏名を考えてそのなまえで呼べばいいんじゃないか? という話になった。
『なんていうなまえが良いかしら?』 と 訊いたら 母親は 云った。

『キャサリン』

・・・キャサリン?
2003/06/25 (Wed)
 
雨は時折ひどくはげしく降り その所為か 客足は疎らだった。
退屈しないように 気をつける。
シンクを磨き 排水溝のぬめりをとり 湯飲み茶碗をありったけ漂白洗浄した。
ぴかぴかにすることに よろこびをおぼえる。
漂白剤で荒れた手を ながめた。
あまり効果はないのだったが 気休めに ハンドクリームを塗る。
お昼過ぎに雨が上がり 外に出てみると 西のほう 日光の山並みの麓にしろい雲がかかっていて
しろい雲は陽をうけて輝いていて うつくしかった。
雲の海のなかに 山がうかんでいるみたいにみえる。
夕方は ぼんやりとラジオを聴いて過ごした。
ギターのおととオルガンのおとのあたたかさがすきだなあ と おもう。
堕ちていくばかりのような気がした。
これ以上 堕ちていかないように 気をつける。

底 って?
2003/06/28 (Sat)
 
お客さんに 『大きくなったねえ』 と 云われた。
どう返していいかわからなくて とりあえず 笑ってみる。

自転車に乗って 化粧水を 買いに行った。
いつでも 『しっとり』 を 買うのだったが うちに帰ってきてふとみてみると
なぜだか 『さっぱり』 だった。あわわ。まちがえた。
どうしていいかわからなくて とりあえず 使ってみる。