おだやかに晴れわたった　あたたかな午後　ポプラの樹を見上げているときのきもち。
風に揺れるみどりの葉っぱ　きらきらして　みずいろの澄みきったそら　雲ひとつない。

きみどりの実たわわになっている　名前もしらない樹の葉っぱは
てのひらのかたちをしていて　かたつむりがとまっている。
殻のなか　じっと隠れている。雨上がりの朝　眩いひかり溢れている。
遠い空の向こうのこと　おもっている。

生きつづけることは　意志に依る？
冷えきってるコーヒー　飲み干す夜の静寂。
疲れきってるからだ　意志ならとうに薄弱。

ペットショップガラスのはこのなか　チワワのきょうだい。
まあるいベッド　ぴったりくっついて眠っている2ひき。
どちらも　15まん8000えんというお値段がついている。
べつべつの家に買われていって　はなればなれになるんだろうか。
寄り添って過ごした日々のこと　いつか思い出したりするんだろうか。

パソコンつけたままうとうとまどろんで　メッセンジャーのおときこえた気がして　やけにはっきりとしたそらみみに驚いて。

ぴんと跳ねた髪みたいな気分で　水たまり蹴散らしてあるいてみたり。
突然頬濡らした涙みたいな気分で　タートルネックのセーター潜ってみたり。

ちがう場所ちがう時間　まるでべつべつに生きているのだということ。

メントールのリップクリーム　だらしなくながいマフラー　自転車のスピード　つめたい風。

踏みしめて踏みしめて　落ち葉のおと　愉しむのです。
わざと　たくさん積もっているところを　歩くのです。
おばあちゃんが　すきだと云っていたおとです。
おばあちゃんには　もうにどと会えないのです。

現実をみつめる/幻想を捨てる/此処から/逃げない

カスタマーサポートのおねえさんに　VAIOの症状を詳しく説明し
電話を切ったあと　VAIOカルテの空欄を埋めていった。
VAIOカルテは　パソコンを買ったとき箱に入っていた紙で　修理受付の際に必要なのだった。
修理受付番号だとか　機種名だとか　名前だとか　住所だとか　クレジットカード情報だとか　VAIOの症状だとか
そういういろいろを　記入するようになっている。

翌日　スーパーペリカン便パソコンコンポがやってきて　ヤマモトさんがぷちぷちシートを手にやってきて
パソコン本体　ACアダプタ　バッテリ　保証書　VAIOカルテ　を　ぷちぷちシートで手際よく包んで
さらにダンボールに入れて　持っていって呉れたのだった。
わたしが　ペリカン便の伝票に　確認のサインをしているあいだに　ヤマモトさんの携帯が鳴リ響いた。
ヤマモトさんは　『んだよ　うるせえなあ』　と　怒っていらして　なかなかヤンキーぽいかんじのひとだった。

お届け先は　岐阜空港気付　（VAIO）　ソニー株式会社　と　なっていた。
岐阜っていったいどこだろう？　と　おもって　日本地図をみたら　思いがけないところに　あった。
VAIOちゃんは　飛行機の旅を　したのだろうか。