2004/02/03 (Tue)
 
5000円から 2550円 引き算をするところで 躓いた。
間違えて多く渡してしまったお釣り すぐに気が付いて お客さんのてのひらから一旦取り返して
すみません と 謝りながら ただしいお釣りを 渡しなおした。
そのあとのお客さんからも 2550円 貰うのだったが 3050円から引き算をするところは
二度とは間違えないように 注意深く おこなった。

領収証を いちまい 無駄にした。
運輸の 輸という字が どんなんだったか すぐには思い出せなくて
漢字って書かないとわからなくなっちゃうんですよねえ などと 言い訳しながら
お客さんの胸についているネームプレートをじろじろみて 書き写していたら
そのあとに書きたかった (株) を 書くスペースが 無くなってしまったのだった。

小学校からやり直したほうが良いのだろうか。
2004/02/05 (Thu)
 
8番線 黒磯行き ドアを手であけて オレンジとみどりのボディの電車。
イヤホンから くるりの 『ミレニアム』 という曲。
電車のすすむスピードやガタンゴトンと揺れる振動と 曲のリズムが なんとなく似合っている。
心地良い。

真冬の寒空の下 露天風呂に入るというのは 罰ゲームかなにかのようであった。
寒風吹きすさぶなか すっぱだか。
渡り縁を歩いていって浸かるお湯は いつもよりもぬるい。
しまいには 風花まで 舞いはじめるのだった。
こまかい氷の粒は 横から吹き付けるように飛んできて お湯のなかに溶けて消える。
立ちのぼる湯気は ものすごい速さで お湯のうえを滑るようにして こちらに襲いかかってくる。

なにもかも忘れて 時間さえも忘れて 露天風呂に いちにちじゅう。
疲れきった躰が お湯のなかで だんだんにほどけて 軽くなっていくようだった。
ちいさな男の子たちが 『つききれい!』 『ほしきれい!』 と さけんでいた。
あたりは すっかり 夜なのだった。
岩にあたまを凭れかけて 空を見る。
まあるいしろい月 輝いている。

★ 温泉にカップラーメンを持ってゆくときは 割り箸を忘れないようにすること (温泉の食堂 一膳10円で売ってる)
2004/02/06 (Fri)
 
待ち合わせ場所はPARCOのなかで たくさんいろいろなお店があるから
妹のバイトが終わるまで 退屈することなく 待っていられた。
アクセサリーをみたり ボディショップを覗いてみたり 服をちらりみてみたり
パソコン雑誌を眺めたり 若者向けのファッション誌をみてマフラーの巻き方を研究したり。
タワレコの試聴機に 『君繋ファイブエム』 を みつけて ずいぶんながいこと 聴き続けた。
とりわけ 6曲めの 『無限グライダー』。
砕けた幻について 思い巡らせながら。
曲のさいしょに戻る操作を 6度目か7度目か8度目かわからないくらい繰り返したころ
妹が迎えに来てくれて わたしたちは 映画館に向かった。
観たかった映画の上映期間は今日までで 18:20からの回が最終だった。
ちいさな映画館の ちいさなスクリーンで しんみり沁みる映画を 観た。
2004/02/08 (Sun)
 
顔から血の気が引いて くちびるの色が白けている。
靴下に包んだつまさきが 氷のようにつめたくなっている。
皮膚の水分が奪われていて かさかさと乾いている。

温泉に行っておおきな鏡の前で自分の裸をまじまじとみて 気付いたのだが
ささやかな胸のふくらみが またげっそりと削げ落ちてしまったようであった。
痛々しく アバラ骨が浮き上がっている。
ぶくぶく泡立つジャグジーに浸かって 鶏がらスープの鶏がらの気分になっていると
地元の女子高生らしきふたりが はいってきた。
若いおんなのこふたりの胸には たいへんに発達したおおきなおおきな膨らみが
ぷるんぷるんというかんじで揺れていて ああいうのをおっぱいと呼ぶのだとおもった。
なにか 食べ物が違うのだろうか。成長ホルモンをたっぷり含んだ 牛肉なんかを食べると良いのか。
あんまり羨ましくて 不躾な視線を浴びせてしまった。

なにしろ足りないのは この先を生きていこうという気力だった。
どんどん枯れて うしなってゆくばかりのような気がしている。
取り戻そうという気持ちだとか努力する気持ちだとかいうものが わたしにはもうまるで残っていないようなのだった。
2004/02/17 (Tue)
 
くちびるの端っこにぴりぴりと痺れを感じたなら 持病が現れる前兆なのだった。
普段躰のなかのどこかでおとなしく眠っているウイルスは 時折躰のそとがわにその姿をみせる。
ものすごく疲れが溜まっているとき それは現れやすい。紫外線や寒さなどの刺激も 引き金になるらしい。

くちびるの端っこ。痺れを感じた翌日あたり。ちいさなぷちぷちとした水泡が 幾つか出来る。
水泡は痛痒いのだが 痛さも痒さもやんわりとしたかんじで 然程気にならない。
まもなく 水泡は潰れる。ウイルスを含んだ液体が滲み出して出血して かさぶたが出来る。
概ね1週間くらい続くかさぶたの時期は 気分的にとても辛い。かさぶたは 治りにくい。
顔を洗うときや歯を磨くときなどに 剥がれたり血まみれになったりする。

血のかたまりがくちびるに貼り付いている様は すごく目立つ。
鏡を見て 憂鬱になる。わたしは とても醜い。
欠陥商品のきもちで過ごしている。外にも出たくないし誰にも会いたくない。
大げさに云えば 死んでしまいたい。
2004/02/18 (Wed)
 
足の裏が痛くて 眠れない。じんじんと痺れるような 慢性的な痛み。
からだのなかの血の巡りが ほんとうに悪いらしい。
午前3時。自分の唸り声に 驚く。足の裏を 揉んでみる。足首からふくらはぎに向かって 揉みしだいてみる。
それでも痛みはさっぱり治まらず 眠れやしないので 真夜中の浴室に向かう。
浴槽には まだ温かいお湯が 張ったままになっている。
ジャージを膝よりも随分上まで捲り上げて 足だけお湯に浸かる。
ピンク色の入浴剤のはいったお湯のなかで 皮膚はあかく染まっていく。
あおい血管が 幾筋も幾筋も浮き上がってくる。
頭ん中で バスルームでひとりきり大暴れする唄が鳴ってる。
”ピストルならいつでもポケットの中にあるから”。

しばらく足を温めて血行を良くして なんとか痛みをごまかして
やっと眠りに落ちるのだけれど あんまり眠れないうちに すぐに朝になって
目が覚めた途端に 足の裏にじんじんと痺れるような痛みを感じるのだから うんざりする。
犬の散歩の途中で 貧血と足の痛みのために座り込んでしまう。わたしは とても疲れている。
くたびれたポンコツのきもちで過ごしている。もう歩きたくないしこんなに痛む足は要らない。
大げさに云えば 切ってしまいたい。
2004/02/23 (Mon)
 
泣きはらして 夜が明けるころ つかれて眠る。
抱きしめて眠る犬は とうに寝息を立てていて 鼾さえかいている。
しろい毛むくじゃらに 鼻を埋めたら 雨の匂いがした。
2004/02/25 (Wed)
 
家の前の しろい梅の まあるい蕾が ひとつ ふたつ ひらきはじめた。