2004/06/17 (Thu)
 
東京に向かう電車のなかで 向かいの席に座っていたおんなのこは
たぶん2歳くらいだとおもうのだけれど ちいさなこどもの歳というのは
まったく見当がつけられないことのひとつなので もっとちいさいのかもしれない。
ラルフローレンのピンクのしましまのワンピースに アニエスベーのしろいくつした。
しきりにつり革に掴まりたがるので ママは幾度も抱き上げてやらねばならないのだった。
あそび終わると 愚図りはじめた。ママは おおきなリュックサックから 犬のぬいぐるみを取り出した。
ぬいぐるみを抱くちいさなおんなのこというのは なんてかわいらしいんだろう。
すこし遊んでいたけれど しばらくすると おおきめの泣き声をあげはじめた。ごきげんななめ。
ママが グリコ野菜なんたらジュースを取り出すと その紙パックを見た途端 泣き止んだので
どうやら おなかがすいていたようす。ちいさなてのひらでジュース持って ストローで吸ってる。
そうしてすっかり飲み干してしまうと やがてすやすや眠りはじめた。
ママは リュックサックから ちいさなピンクいろのタオルケットを取り出した。
(ママバッグには いろいろなものが詰まっている)
電車のなかは 冷房で ひんやりとしているのだった。
ちいさなおんなのこは ちいさなタオルケットでやさしく包まれて 夢のなか。

わたしは カーディガンを羽織って 震えていた。
どこにでかけるにも カーディガンは 手放せないかんじ。
デパートも スーパーも 電車のなかも 冷房が強すぎる。
世の中は 冷やされ過ぎている。

たのしみにしていた 『YES オノ・ヨーコ』展は 期待を裏切らないものだった。
想像力により つくりだされる作品。イメージすること。やわらかなこころ。

常設展に 印象深い作品があった。
3階の展示室の いちばんさいごの部屋に その作品は ある。
宮島達男というひとの
『それは変化しつづける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く』。
(タイトルからして素敵なかんじだとおもう)

ひろい展示室は 映画館のような薄暗い雰囲気になっていて
壁に 288センチ×384センチという おおきなサイズの その作品が掲げられている。
赤く光るたくさんのデジタルカウンターが 一面に埋め込まれている。
無数のそれは それぞれが 1から9までの数字を カウントしているのだったが
ひとつひとつの速度はさまざまで いそがしく数えているのもあれば ゆっくり数えるのもあるし
なかなか光が灯らずに 黒いしかくいかたちに塗られたままでいる一画もあるのだった。
ばらばらのひとつひとつ。あつまってひとつになっている。
作品の反対側の壁のところに ながいベンチがあったので 腰掛けて 暫くぼんやり。
赤い光。眩い点滅。数字の海。見蕩れる。