2004/11/02 (Tue)
 
見切り品 と書かれた 黄色い札の掲げられたコーナーで 鉢植えをひとつ選び取り レジへと運んだ。
レジの 高校生とおぼしき若い女の子は 鉢植えをぐるぐる廻して 丹念にしらべるのだったが
鉢植えのどこにも 値札がみつからず 値段がわからないのだった。
女の子が 『少々お待ちください』 と云って 値段をたしかめるために売り場へ向かおうとしたので
『税込み300えんです』 と 売り場でおぼえてきたお値段を そのままおしらせしてみたところ
女の子は 『ああ 300円』 と 呟いて 素直に 300円でレジを打ってくれた。
200円 と云えば 200円で売ってくれそうな雰囲気。
たしかに300円だったその鉢植えは パキラというなまえの観葉植物で
とてもふとい幹をしていて 背の高さは50センチくらいあり おおきくて なかなか立派なようすなのだったが
てのひらをひろげたような 5枚ずつの葉っぱたちは いかにも見切り品らしく
おひさまのひかりがすこし足りなかったような 元気のない うすくて弱々しいみどりいろをしている。
だけれど 葉っぱと葉っぱのあいだから あたらしく伸びてこようとしている葉っぱの息吹がかんじられる。
お店のひとには見切られたようだけれど きっとたくましく生きつづけることだろう。 
2004/11/05 (Fri)
 
ポトス プミラ アジアンタム ワイヤープランツ。
ふらりとのぞいたお花屋さんで ちいさな鉢植えを 4鉢買った。
ポトスとプミラとワイヤープランツは 素焼きの鉢に 寄せ植えにした。
アジアンタムだけは お水をたくさん飲みそうなので 別の鉢にした。

ずっと欲しいとおもっていた 柘植の櫛を 手に入れた。
通いつめている和雑貨のお店でみつけて うきうき買った。
きれいな飴色になるように 大切にながく使ってゆこうとおもう。
柘植の櫛で髪を梳かすと しゃりんしゃりんとやさしい音がする。
2004/11/11 (Thu)
 
駅までの道 満天星(どうだんつつじ)の あかく色づいた葉っぱが 眩い。
駅のホームで 条件反射みたいに 涙ぐむ。
電車のなか みどりいろのシートにふかく腰掛けて できるだけ背筋を伸ばしてみる。

ふたつめの 柘植の櫛を 手に入れた。
このまえ買ったものは実用的なもので たいへん使いやすいのだけれど素っ気ないかんじなので
半円形でお花の彫りが入っているうつくしい柘植の櫛がほしいなあ と おもっていたのだった。
ちょうど デパートに 京都がやってきていて 思い描いていたとおりのものを みつけた。
コスモスが彫ってあって ちりめんの可愛らしいケースもついている。
十三やというお店。九(く)と 四(し)を 合わせて 十三やという名前。
2004/11/12 (Fri)
 
フォックスフェイスという名前の植物について わかったいくつかのこと。
茄子科であり 別名ツノナス。実には 毒があるらしい。
茄子によく似た紫色の花をつけたのち あのような独特のかたちの実をつける。
さいしょはみどりいろの実で 熟すると鮮やかな黄色の実になる。
花屋さんで売られているものは 葉っぱや枝を取り除いてある。
水をやる必要は無く 空の花瓶で 2ヶ月くらいは楽しめる。

床の間に 信楽焼の花瓶を空のまま置き フォックスフェイスを2本 無造作に挿した。
2004/11/14 (Sun)
 
はやとうりのお新香は 苦いような辛いような ふしぎな味がする。

店に 同級生のおとこのこが やってきた。
小中高と ながいことおなじ学校に通ったおとこのこ。
卒業してからは 一年に一度くらい お店に来てくれるのだったが
妻をともなっていらっしゃったのは はじめてのようにおもう。
妻もまた 高校の同級生だったので ひさしぶりに会う彼女を なつかしくおもう。
彼女の胸にはあかちゃんが抱かれていて くりっとした瞳のあかちゃんは 彼にも彼女にもすこしずつ似ている。
彼女が彼のことを 『おとうさん』 と 呼んだりしていて 彼と彼女とあかちゃんは すっかりしっかり家族なのだった。
学校に通っていたころの ただの同級生で友人だったふたりのことは 記憶のなかにあるのだったが
こうして夫婦となって目の前にいるのは あのころ想像だにしなかったことなので ふしぎなかんじがする。