2004/12/04 (Sat)
 
小上がりの窓際の席から 南天の木の茂みがみえる。
重なりあうみどりいろの葉っぱの隙間に 向こう側の空が透けている。
空はどんよりと曇っているのだけれど じゅうぶんにあかるく きらきら眩く ひかり輝いてみえる。
いちにちに幾度か その席から 窓越しの空を見上げている。

いちにちに幾度か こころのなかで 『神様』 って おもう。

神様なんていない。

やさしさについて 考えている。
わたしにはきっと それが足りない。
2004/12/05 (Mon)
 
線路を跨ぐ陸橋の いちばん天辺までのぼると おもいがけず富士山がみえた。
ずいぶん遠くまで 晴れわたっている。空が とてもひろい。
陽がおちたばかりの夕暮れ時 つよい風が吹き荒れている。
揺らぎながら すこしのあいだ その山のシルエットを眺める。
溢れだしてしまいそうなせつなさは 瞳の奥に堪えている。
2004/12/13 (Mon)
 
ババシャツとタートルネックセーターとジーパンのうえに さらにロング丈のニットワンピを着て
そのうえ もこもこと ロング丈のダウンジャケットをかさねる。
ニット帽を被って 首には ぐるぐる巻きのマフラー。

ふたご座流星群の夜。

冬の夜空を 見上げつづける。
幸運なことに快晴で 雲ひとつ無い星空がひろがっている。
なるたけ人工の光が邪魔しない暗がりを求めて あちこち場所を変えながらも 視線は空に漂わせる。
家並みが途切れる一角だとか 貯水池の横にあるひろい空き地だとか うろうろ。
見上げつづけていると 首が疲れてくる。
大谷石の塀に寄りかかったり みどりいろのフェンスに凭れたり。
そのうち アスファルトに寝転んでしまうと ずいぶん楽だとわかった。
目の前ぜんぶが 空になる。背中が だんだんひんやりしてくるけれど。
地面を伝わって 下水の流れるおとが聴こえている。

流れ星は 空のどのあたりでも流れるのだった。
まるで気を抜けずに見つめつづけていると ときおりひゅううとひかりがはしる。
かよわいほそい線を描くこともあれば 力強くしろく輝いて消えることもある。
真正面にみえて歓声をあげたくなるときもあれば 視界のすみで捉えてちょっと残念なときもある。
ひとつ ふたつ と 流れ星を数えていたら ついには24にもなった。
22ばんめにみたものは とりわけ光り輝いていてうつくしかった。
気づくと 3時間も空をみていた。

いつぞやのしし座流星群のときに比べると 物足りないかんじがあったけれども
(あのときは 一晩そとにいて 50以上も流れ星をみることができたのだった)
寒くなってきたし 眠たくもあったので 名残惜しみながらも 帰ることにした。
帰り道も 空ばかりみてあるいた。冬の星座が よわよわしく瞬いている。
ずいぶんよわい光におもえるのは わたしの視力が以前よりもずっと落ちた所為なのかもしれない。